有機食品にはメリットが無いらしい
すでに周回遅れの話題かもしれませんが。「オーガニック」やら「有機」と呼ばれる食品は、有機ではない食品と比較して、特に健康効果は無いそうです。
「有機」に健康効果なし=一般食品と栄養変わらず−英調査(Yahoo!ニュース 時事通信、7月30日)
ネタもとはここかな。
Organicreview published(英 Food Standards Agency、29 July 2009)
ふーん、そりゃそうだろうなぁ……と思って読み流していたのですが、どうやら世間では議論が巻き起こっているようですね。
基本的に植物は、たとえ有機物を肥料として与えても、それを根っこから直接吸収することはなくて、微生物などの働きによって栄養素まで分解されたものを吸収するそうです。(もちろん生き物ですから、少しは例外もあるのでしょうが)。なので、普通に農業をやっている状況では、有機物を与えても、化学肥料を与えても、植物が必要として根っこから吸収される物質はまったく同じ。ですから、有機作物に含まれる栄養が、人間にとって特に健康的ということはないそうです。
たとえば最近のこの記事参照
有機野菜信仰 植物は有機物を栄養素にしている?(やさしいバイオテクノロジー、2009/07/25)
さて、「有機」食品に健康効果のメリットが無いとすると、人はなぜ「有機」を求めるのでしょう。誰でも思いつくのは「化学肥料や農薬の危険性が無い」ことでしょうか。しかし、普通に出荷されているものでは、安全面においても、やっぱり有機食品と有機で無い食品に差はないのだそうです。
このへん参照
オーガニックについてのレビュー発表(食品安全情報blog、2009-07-30)
簡単に引用しますと
「有機農産物には残留農薬が少ないから健康への悪影響が少ないという主張は残留農薬モニタリング結果によって既に何度も何度も否定されている」
「通常農産物が有機より有害ではないと言われて有機推進団体が持ち出してきたのが栄養価が高いとか健康に良いとかいう主張。」
「今回の報告書はそれを否定している。」
「環境影響は食品の安全性とは違う問題なのでFSAは議論していない。」
「英国におけるオーガニック食品のメリットの最後の砦は動物愛護とGM反対。」
「GM反対は宗教のようなものだから、例え栄養に優れ農薬使用量が少なく単位面積あたりの収量が多くて環境負荷が少なくても反対するのだろう。」
……だそうです。
確かに、世の中には危険な食品とか栄養の無い食品とかもたくさん出回っているのでしょうが、それは個別の食品の問題であって、「有機」だから安全で健康的な食品だという判断材料にはならないわけですな。
もちろん、「有機」やら「オーガニック」やらの付加価値を否定するものではありません。消費者が生産に手間のかかった高級な食材を望み、生産者がそれに答えるのなら、それはそれでいいんじゃないかな。「有機食品は安全」とか「健康にいい」とか根拠のないことを言わない限り、という条件付きですが。
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