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2009.03.19

流出した個人情報を、わざわざ再放流する奴ら

 
昨年、神奈川県立高校の生徒の口座情報などを含む個人情報が、約11万人分も流出する事件がありました。

個人情報は、神奈川県教育委員会から、授業料徴収システム関連の業務を受託していた日本IBMに渡され、さらにその業務委託先の社員がファイル共有ソフト入りのPCに保存したあげく、ウイルスにやられて流出という、おきまりのパターンをたどったそうです。

もちろん、悪いのは市民から託された個人情報をいい加減に扱った連中です。市民に対して責任を負うのは神奈川県教育員会であり、神奈川県に責任を負うべきなのは日本IBMでしょう。

でも、入手した個人情報を、わざわざ意図的にWinnyやShareのネットワークに「再放流」するロクでもない連中がいて、こいつらが情報の拡散と被害の拡大に手を貸していたりするわけです。
 
 
そんな連中に対して、IBMが法的措置をとったそうですよ。

ファイル共有ネットワークへ流出個人情報を放流したユーザーに「情報の再発信の禁止」の法的措置(スラッシュドット、2009年03月17日)

神奈川県立高校生の情報再放流者に、「再発信禁止」の仮処分命令(INTERNET Watch、2009/03/16)

IBM 個人情報流出に関する対応状況お知らせ(日本IBM、2009年3月13日)

神奈川県授業料徴収システムに係る個人情報の流出に関する対応状況について (神奈川県、2009年3月13日)
 
 
 
WinnyやらShareやらに一度流出した情報を削除するのは非常に困難だといわれていますが、IBMは地道に削除を行ったようですね。

 ファイルは当初「Winny」のネットワークに流出したとみられ、日本IBMではWinnyネットワークの監視を行ってきたが、2008年11月には「Share」のネットワーク上に流出ファイルが流通していることを確認。日本IBMではISPに協力を要請し、ファイルをShareでダウンロード可能にしているユーザーを特定、ファイルの削除を要請してきた。この結果、2009年2月末時点で、ファイルをダウンロード可能にしていたユーザーのほとんどが当該ファイルを削除し、情報の拡散が回避されつつあるという。

(INTERNET Watch)


 
 
一度個人のPCに保存されてしまった情報を削除する方法はありませんし、法的に削除を強制することも不可能です。でも、ネットワーク上での情報の公開に限れば、プロバイダと力を合わせて公開者に対してやめてもらうよう協力を仰ぐことにより、なんとか収束に向かいそうだということですな。一度流出してしまった情報の拡散を回避するためには、ホント地道な作業が必要なのね。
 
 
しかし困ったことに、いくら協力を仰いでも、何度も何度も繰り返して情報を公開する連中がいます。そんな彼らに対してIBMが執った手段は、法的措置。

 また、情報の再放流者に対する法的措置としては、意図的に情報の拡散を図ったと見られる人物に対して、2009年12月から該当ISPに対して発信者情報の開示請求を要請してきたが、任意の開示が得られなかったため、日本IBMでは2月9日に東京地裁に当該ISPへの発信者情報開示の仮処分を申請。2月 26日に仮処分が認められたことから、開示情報をもとに、3月5日には当該人物に対して「情報の再発信の禁止」を求める仮処分を申請し、6日に仮処分が認められた。既に当該人物には裁判所からの仮処分の通知がなされており、対応を注視していくとしている。

(INTERNET Watch)


 
 
ネット上でどんな情報を公開・発信したとしても、普通の場合は発信者に関する情報はプロバイダ責任制限法によって保護されます。おそらく今回の場合は、表現の自由あたりとからんで微妙な問題なので、IBMから問題の個人情報を発信している連中に関する情報の開示を求められたプロバイダは、発信者情報を開示しなかったのでしょう。で、IBMはまず発信者情報開示の仮処分の申請をおこない、その次に、特定された発信者に対して「情報の再発信の禁止」を求める仮処分を申請したわけですな。

(おそらくプロバイダとしても、こーゆー場合は、訴えられた方が楽でしょう。なんたって裁判所の判断ですから、たとえ微妙な問題でも、あとで当事者に文句言われることはありませんから。)
 
 
 
確かに、表現の自由の問題とか、もともとの情報漏洩事件を引き起こしたIBMと神奈川県に対する怒り(義憤?)とか、個人情報を再放流する連中にもいろいろと言い分はあるのかもしれません。僕には理解できないけど。

でもね、どんなにご立派な理屈をこねたところで、彼らのやっていることは、情報を漏洩された全く罪のない本来の被害者の被害を拡大しているわけです。倫理的、というか一般常識的に考えて、許される余地はないと思うぞ。

(その点、社会的に議論の余地がある(かもしれない)ネットワークと著作権の問題とは、ぜんぜん質が違う。)

情報漏洩事件が起こる度に、似たような事をする連中がたくさん湧いてくるけど、今回法的な措置がとられたことで、すこしはましな状況になればいいな。
 

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