« 札幌市民にラーメンを語らせると長いぞ | トップページ | 貧民食堂が無くなってしまった »

2009.02.02

あのスニーカーはもう捨てたかい?

 
ネットワークで接続されていない機器間で、人間が走り回ってデータ転送をすることを、「スニーカーネット」と呼ぶことがあります。電気信号の代わりに「スニーカーを履いた人間」を媒介にしたネットワークですな。

スニーカーネット(ウィキペディア)

もともとは、ネットワークで接続すれば楽なのにわざわざ人力でデータを出し入れしている古くさいシステムをバカにする言葉だったらしいのですが、実はこのスニーカーネット、性能的には侮れなかったりします。

例えば、1GバイトのUSBメモリをつかって、手元のPCから隣のPCまでデータを移す状況を考えます。仮に1秒でメモリを差し替えることができたら、まぁ細かい計算は抜きにして、ギガビットイーサよりも速いといえるでしょう。大容量のメモリを使えば、さらに高速なデータ転送が可能ですね。

とはいっても、直接LANで接続できる距離なら、やっぱりネットワーク転送の方が楽です。でも、遠距離になると事情が違ってきます。高速な専用通信回線は高価ですし、インターネットは大量のデータを転送するには、速度も信頼性もいまいちです。

スニーカーネットの真価が発揮されるのは、遠距離で大量のデータを転送する場合です。例えば、東京ー札幌間でテラバイト単位のデータを転送したいと思ったら、DVDやらテープを持って飛行機に乗るのが、もっとも安くて確実な方法でしょう。宅配便で送ってしまえば、さらにお得です。(上記ウィキペディアの記事には、googleが数百テラバイト単位のデータをFedexで転送している例がでていますね)

飛行機でなくても、カタツムリ程度の速度があれば、ADSLよりも高速な通信が可能であるとの、まじめな(?)実験も行われていたりします。

このへん参照 (写真が笑える)

ADSLよりも速いカタツムリ通信(Engadget Japanese、Feb 9th 2006)


 
 
さて、そんな便利なスニーカーネットですが、便利なものには落とし穴があります。

短時間で大量なデータを転送できるということは、情報漏洩にもってこいの仕組みです。悪意のある泥棒にとっては、こんな便利な仕組みはありません。また、自宅でも仕事をしようと考える真面目な人も、ついメモリや私物PCにデータを入れて持ち帰り、帰宅途中で置き忘れたり、車上荒らしで盗まれたりするわけです。

さらに、逆にスニーカーネットを通じてウイルスが侵入してきたりもします。たとえば、世界中で問題になっているワーム「Downadup」等は、USBメモリを通じて感染を広げます。システムに繋がる多数のPCのうちたったひとつに、不注意な誰かがUSBメモリを指しただけで、システム全体がワーム感染の危機に陥るわけです。

要するに、PCにUSB端子がついているのが常識となった今日、システムのセキュリティ対策を行うためには、ファイアーウォールやら侵入検知システムやらのネットワークセキュリティ対策だけでは足りなくて、PCや記録メディア(メモリやテープやDVDはもちろん、SDカードやiPodや携帯も)の個別の管理も必須な時代になってしまったわけです。もちろん、ネットワークに繋がっていない単体の組み込みシステムも、USB端子がついている限り例外ではありません。

対策としては、シンクライアントを使うとか、ADのポリシーでUSBの制限を強制してしまうとか、それ用のセキュリティソフトとか、物理的にUSBの穴をふさぐとか、いろいろあるのですが、僕の知っている限り、中小企業や大学等では、たとえファイアーウォールにはお金をかけても、社員への通達などの運用的なもの以外の物理的な対策は全く行われていないところが多いような気がします。
 
 
で、ここからがやっと本題。

かねてから考えていたのですが、企業のセキュリティに携わる人間としては、PCメーカーさんに初めからUSB機能やDVD機能が使えないPCをつくって、企業相手に売り出してくれると、もっとも楽だったりします。サーバーや開発など特別な用途のPCには使えないだろうが、一般事務用のPCとして大量に売れまくるような気がします。

そこそこの性能のPCから、USB機能やDVD機能を削るだけでいいんだ。MacBook Airみたい格好よくなくていい。そして、「セキュリティ強化PC」として売り出す。もちろん大量導入が前提で安くする。

確かにださいPCです。しかし、シンクライアントのシステムやAD認証システムは大げさすぎると考えている中小企業が飛びつくと思いますよ。何よりも、管理者が楽できるし。

差別化に悩んでいる日本PC業界としては、こんなスニーカー禁止PCについて、一考の余地くらいあるんじゃないかな? 

|

« 札幌市民にラーメンを語らせると長いぞ | トップページ | 貧民食堂が無くなってしまった »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/18696/43930791

この記事へのトラックバック一覧です: あのスニーカーはもう捨てたかい?:

« 札幌市民にラーメンを語らせると長いぞ | トップページ | 貧民食堂が無くなってしまった »