イカ釣り漁船とLEDと光ファイバ
イカ釣り漁船の漁り火が、LEDになりつつあるそうです。
産官学で切り開く科学の未来 LEDで省エネ漁、失明から回復… (MSN産経ニュース、2009.1.1)
へぇ、おもしろいね。てなわけで、漁り火関連についてググってみました。
まずは現状。
イカ釣り漁船の漁り火は、メタルハライド灯が使われ、総出力は1隻あたり合計180000Wにもおよび、これは街路灯1000本ぶんにも匹敵するのだそうです。
このあたり参照
漁火を考える…イカ釣り集魚灯の改善を(1)(北海道 自然文化の集会場)
しかし、この莫大なエネルギーのうち、実際にイカ釣りに役立っているのはほんの一部分なんですって。
街路灯1000本ぶんに相当する光を放つ強烈な漁火も、 実際に海面に届くのはその10%程度にすぎず、 イカがいる水深50〜300mという漁獲深度に届くのは、 海面に届いた光の、さらに0.001%ほどにすぎません。(上記リンク)
これは、確かに無駄が多そうです。で、いろいろと対策が考えられているわけです。
まずは、海面ではなく、空にむけて漏れている光の問題について。
イカ釣り漁船の放つ強烈な漁り火の光は、人工衛星からもはっきりみえます。
たとえばこのへん
DMSP-japanlights.gif(はまぎんこども宇宙科学館 夜の地球)
また、日本海側の星空は、イカ漁の季節になると「漁火光害」による汚染が深刻な問題になるのだそうです。
この無駄な光を減らし、消費エネルギーを減らすため、もっとも単純な解決策として、傘を被せた集魚灯が開発されているそうです。
ここ参照
漁火を考える…イカ釣り集魚灯の改善を(2)(北海道 自然文化の集会場)
素人考えだけど、自動車のライトみたいのにすれば、かなり無駄が減りそうな気がしますね。
また、水面から入った光が、イカのいる深度に達するまでに減衰してしまうことへの対策としては、水中集魚灯というのもあるらしいです。
光源をイカの泳いでいるすぐ近くに置こう、そのためには水中に沈めてしまえ、というわけですな。
またまた同じソースですが、ここを参照
漁火を考える…イカ釣り集魚灯の改善を(2)(北海道 自然文化の集会場)
さらに、そもそもメタルハライド灯自体が無駄なんじゃね、ということで、開発されたのがLED集魚灯です。
LEDはもともと消費電力が少ない上に、光の方向も制御可能、さらにイカに影響を与える特定の波長の光を出すことができるので、無駄がありません。
実際の漁船で利用すると、電力消費が少なく(年間の燃油代は160万円減)、交換も少なくて済む(年間の灯火等の更新費が45万円減)、そして漁獲高は変化しないという、夢のような光源らしいですね。問題は初期投資が640万円余分にかかることですが、これは数年で回収できるのだそうです。
ソースはこのへん
青色発光ダイオード集魚灯の技術開発について ー「イカ釣り漁業が変わる!」ー(マリノフォーラム21 LED集魚灯開発事業検討会)
新技術(システム)導入漁船像の提案(水産庁)
ついでに、LEDの利点は他にもあって、発電機のかわりにバッテリーを搭載することにより、火災の危険が減少し、騒音も減る。さらに、LEDは熱くないので、やけどの危険性まで減る。てな感じで、漁師さん達の職場環境の改善にもつながるらしいですよ。
LEDってすごいもんだ。
ついでに妄想。
LEDの光を直接イカのいる深度に届けるのがもっとも効率がよいのだったら、LEDパネルを船上に並べるのではなくて、LEDにつないだ光ファイバを深海まで垂らせばいいんじゃないですかね。
海上にはまったく光が漏れることなく、漁船はただ大量の光ファイバを引きずるのみ。……イカ漁のイメージががらりと変わってしまうかも。
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