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2008.03.31

科学者の信条と時代の空気

 
ひとくちに科学者といっても、いろいろな人がいます。

科学者一般としての共通点は、おそらく「科学が好き」ということだけで、真面目な人からいい加減な人まで、右翼も左翼もアナーキストもいろんな思想信条の人がいるはずです。いや、いるべきです。

それは現在だけではなくて、戦時中の日本でも同様だったんじゃないですかね。
 
 
 
さて、戦時中のお話しです。マンハッタン計画と同じように、当然日本でも核物理の研究が行われていました。

研究に携わった科学者達の心中については本人しかわからない事ですが、当時の雰囲気を知る人のお話だと

「あくまで基礎科学であり、核開発とは関係なかった」
「時代の雰囲気として、軍には逆らえなかった」

てな感じで、軍との関係をネガティブに語られることが多いと思います。積極的に軍のために研究した科学者のお話しは、あまりききません。
 
 
 
もちろん、多くの科学者は、研究に対する軍の介入を嫌っていたのは確かでしょう。でも僕は、当時だっていろいろな想いを秘めて研究した科学者がいたと思うんですよね。

「もう少し時間があったら、日本の方が先に原爆をつくって戦争に勝てたのに」

てな意見の右翼っぽい科学者がいてもいいし。

あるいは逆に

「戦争の勝敗なんてどうでもよかった。研究資金のために軍を利用してやったぜ」

というアナーキーな科学者がいてもいいでしょう。

もちろん、当時の空気として、そんな本音は口が裂けても口外できなかっただろうけど。
 
 
しかし、戦後60年以上たったのに、当時の事を知る人々、あるいは当時の事情を研究している人は、やっぱり「戦争中は仕方がなかったのだ」と、軍と科学者の関係をネガティブにばかり表現しがちです。

もしかしたら、本当に当時はいやいや軍に利用された科学者しかいなかったのかもしれません。でも、積極的に軍に協力した科学者もたくさんいたのだけど(戦争に協力した市民がたくさんいたとの同様に)、現在に至ってもそれをなかなか言えないというのが真相だったりしませんかね。

要するに、「軍に協力した科学者」というものの存在が許されず、タブーとして扱われ、科学者の内心の信条が厳しく制限されて窮屈なのは、むしろ現在の日本(それも科学コミュニケーション業界やSTS界隈)なのかもしれないなぁ。これじゃ、科学者と市民の本音の対話なんて難しいよなぁ。と思ってしまう僕は、ちょっとへそ曲がりすぎかなぁ。 
 
 
……なんて事を考えながら、この映画をみたわけです。

ドキュメンタリー映画「よみがえる京大サイクロトロン」試写会~映像コンテンツを用いた科学技術コミュニケーションの可能性~(札幌ビズカフェ)
 
 
余計な価値観を差し挟まず、戦時中のサイクロトロンに関わるドラマチックな科学史をたんたんと解き明かしていく手法がいいね。
 
あと、戦前に設置された加速器の一部が、京大の現役の研究室の片隅に普通にあるのを発見する瞬間の映像には、ちょっと感動しました。これこそが、映像というメディアの強みでしょう。一見の価値があるドキュメンタリーだと思いますよ。
 


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