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2007.07.09

「通信の秘密」と「公共の福祉

タイトルはちょっと大げさですが。2006年のぷららWinny通信規制騒動を、簡単に時系列順にまとめてみた自分用の単なるメモ。基本的に引用だけです。Internet Week 2006 のどこかのセミナーのお話を聞いて以来、ちょっと気になっていたので。
 
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電気通信事業法

(検閲の禁止)
第三条  電気通信事業者の取扱中に係る通信は、検閲してはならない。

(秘密の保護)
第四条  電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2  電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。

電気通信事業法(法令データ提供システム)


要するに、電気通信事業者にとっては「通信の秘密」は絶対。厳密に言えば、メールサーバがメールのヘッダやエンベローブをみてメールの宛先を判断するのも、ルータがIPヘッダをみてルーティングするのも、パケットの中身を見ることはすべて違法……かもしれない。
 
 
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正当業務行為

形式的には犯罪類型としての構成要件に該当する行為のうち、法令上認められている行為や業務として正当と認められる行為

正当行為(ウィキペディア)

お医者さんがメスを使って手術しても傷害罪に問われないのは、正当業務行為だから。郵便局の中の人が手紙を配るために宛先をみるのも、プロバイダによるルーティングも、厳密には法律違反。正当業務行為だから許されるだけ。
 
 
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2003年11月 ぷららWinnyトラフィック制御開始

「Win-MX」や「Winny」などの違法著作物のネット流通に対する著作権保護対策が不充分であり、実態として違法著作物の流通が甚だしく行われている一部アプリケーションのご利用においては、11月より順次、上りトラフィックを中心に他の会員の通信において迷惑にならない程度にトラフィックを制御させていただくことにいたしました。


Bフレッツ値下げ、ぷららフォンforフレッツ特割の開始、トラフィック制御の開始について(ぷららからのお知らせ 2003年10月20日)

どちらかというと、トラフィックを問題とした制御ですね。どこのプロバイダも暗黙のうちに似たようなことはやっていたようですが。
 
 
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2006年03月 ぷらら「セキュリティ」を理由にWinny規制を決意

ぷららバックボーンにおける「Winny」の通信規制について

 株式会社ぷららネットワークス(略称:(株)Plala、本社:東京都豊島区、代表取締役社長:板東 浩二 以下、当社)は、ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」による通信について、完全規制を開始することを決定いたしました。

 当社では従来よりセキュリティ対策に注力し、これまでにメール送信時のウイルスチェックサービスや、「迷惑メール振り分けサービス」、有害なホームページのブロックや、不正な通信からお客様を保護する「ネットバリアベーシック」サービス等を無料で提供するなど、お客様に安全にインターネットを楽しんでいただくためセキュリティ対策の向上に努めてまいりました。
 しかしながら、昨今、ウイルスに感染したパソコンから「Winny」を介した、意図せぬ個人情報または機密情報の流出が相次いでおります。こうした社会問題を憂慮すべき事態と捉え、皆様に安心してご利用いただけるネットワーク環境を提供することが通信事業者としての責務であるとの考えから検討を行ってまいりましたが、「Winny」による通信を完全に規制する決定をいたしました。なお、本規制開始に関するスケジュール等詳細につきましては、準備が整い次第、改めて発表させていただきます。

ぷららバックボーンにおける「Winny」の通信規制について(ぷららからのお知らせ 2006年3月16日)

はっきりと「セキュリティ」を理由に、問答無用の規制をするとしています。ぷららさん、思い切りました。
 
 
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2006年06月 ぷららの姿勢に対し、総務所からクレーム

 株式会社ぷららネットワークス(略称:(株)Plala、本社:東京都豊島区、代表取締役社長:板東 浩二 以下、当社)は、2006年3月16日に、ぷららバックボーンにおけるファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」による通信について完全規制を開始する方針を決定し、監督省庁である総務省に説明を行ってまいりました。  本日の一部報道にあったとおり、「Winny」通信の完全規制については、通信の秘密の侵害に抵触する可能性が高いとの見解を総務省より頂きましたので、本件に関しましては、その内容についての確認および今後の対応について検討を行い、決定次第改めてお知らせいたします。

本日の「Winny」通信規制に関する一部報道について(株式会社ぷららネットワークス 2006年5月18日)

通信の秘密を侵害するとの総務省の見解をうけ、規制の見直しへ。
 
 
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2006年06月 ぷらら条件付きで「Winny遮断サービス」を開始

 当社では、インターネット上での情報漏洩防止、及び流出した情報(特に個人情報)の拡散防止 という2つの観点から、去る3月16日、Winny通信について完全規制を開始する方針を発表しました。 その後、先日お知らせしたとおり、総務省より利用者の同意なくWinny通信の完全規制を実施することについては通信の秘密の侵害に当たる可能性があるとの見解を頂き、再度、実施内容について検討を 行ってまいりました。その結果、Winny通信を遮断するサービスの提供を希望されるお客様のセキュリ ティ保護のために下記のサービスを提供することとしました。

ぷららバックボーンにおける「Winny」通信遮断サービスの提供開始について(株式会社ぷららネットワークス 2006年6月13日)


 
 
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総務省が提示し、ぷららや業界が納得した条件とは

(1)ユーザーがWinny通信のフィルタに一度同意しても,随時設定を変更できること,
(2)ユーザーがフィルタリング・サービスに同意しているかの有無に関係なく,他サービスと提供条件が同一であること,
(3)フィルタリング・サービスの内容が明確に限定されていること,
(4)通常のユーザーであれば,Winny通信の遮断が合理的であると推定されること,
(5)ユーザーに対してWinnyの遮断について事前に十分に説明すること

ぷららのWinny規制にGOサイン,総務省が五つの方向性を提示(ITPro 2006/06/13)


 
 
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それ以来、なんとなく業界の共通の見解となったもの

無条件で問題ないもの
○ Winny規制(帯域抑制として)
○ OP25B(http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/061114_1_bt.pdf とか参照)
 
場合によるもの
△ Dos攻撃への対策
 
上のぷららと同様の条件がないとだめなもの
× Winny規制(セキュリティ対策として)
× コンテンツフィルタリング
× 迷惑メールのフィルタリング
× bot の分析
 
だいたいこんな感じ。
 
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業界によるガイドライン

2007年5月30日

社団法人日本インターネットプロバイダー協会
社団法人電気通信事業者協会
社団法人テレコムサービス協会
社団法人日本ケーブルテレビ連盟

中略

本ガイドラインは、原則として電気通信事業関連4団体の会員の電気通信事業者向けに公開するものとします。

電気通信事業者における大量通信等への対処と通信の秘密に関するガイドライン(JAIPA)

上記の業界団体や総務省の見解が、ガイドラインとして明文化されたもの(詳細は電気通信事業者にしか公開されておらず、一般人は読めないみたいなので、はっきりとはしませんが)。逆に言うと、これまでプロバイダの業務における通信の秘密と公共の福祉の関係について、明文化されたものはなかったわけです。
 
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まとめというか、なんというか

ちなみに、これらは法律でも何でもないので、プロバイダのこれらのサービスについて「通信の秘密の侵害だ」と訴えれば、裁判で勝てる可能性もないこともないらしい。
 

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