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2006.11.14

科学2.0

最近、論文ねつ造事件など科学者の不祥事をうけて、科学者コミュニティをなんとせねば、という議論が盛り上がっています。

議論の対象となる科学界の問題点はいろいろとあるのでしょうが、研究成果である論文の評価システムとしての査読、ピアレビューの仕組みについて問題視する人が少なからずいるようです。論文の評価システムが科学者コミュニティ内部で閉じているのがいかん。研究成果を市民に対してもっとオープンして、外部からも評価してもらうべきだ、というわけですな。

で、お手本としてよく持ち出されるのがオープンソースです。オープンソースというものが、閉鎖的な科学者コミュニティよりもオープンで良い物に感じられるのでしょう、きっと。

でもね、オープンソースは一般市民に対して決してオープンではありません。この手のコミュニティに参加していない一般の人で、オープンなソースの中身なんて見たことある人がどれだけいますかね。そして、自分からなんらかの貢献をした経験のあるひとは? 確かに形式上はオープンなのかも知れませんが、実際にはオープンソースはコミュニティ内部でしかオープンではないのです。こんなオープンさなら、今の科学者コミュニティだって、十分達成していませんかね?

また、コミュニティに参加、貢献する動機の点からも、今の科学者コミュニティとオープンソースコミュニティは似ています。どちらも基本的な動機は、コミュニティ内部から誉められたい、仲間内から「あいつは凄い研究者だ(ハッカーだ)」と思われたい、てな感じです。端的に言って、情報を受ける一方で貢献する気のない一般市民なんて蚊帳の外です。でも、だからこそ、お互い様の精神が質の高い良い物を作り出しているのでしょう。
 
 
てなわけで、たまに科学の閉鎖性を打破しようという目的でオープンソースを引きあいに出す人がいますが、これはあきらかに間違いです。現時点でオープンソースのコミュミティと科学者コミュニティはそれほど違いませんし、オープンソースの方向性では市民との双方向性コミュニケーションには繋がりません。

(もちろん、オープンソースとちがって科学者は税金を使ってるんだからコミュニティに市民を参加させる義務があるといわれたら、そのとおりです。でも、それで良い研究ができるかどうかは、私にはわかりません)
 
 
 
さて、ちょっと話はかわって。
 
オープンソースは確かに少しづつ一般的になってはきましたが、一般の市民にたいする影響力という点では、決してマイクロソフト(アップルでも同じ)以上の存在にはなり得ていません。

これを、単純にマイクロソフトが金の力で強引な商売をしているから、で済ませていると、問題の本質が見えなくなります。市民との双方向のコミュニケーションという点からみれば、なんだかんだいってもWindowsは市民からの要望をきちんと吸い上げ、少しづつですが素人が使いやすく、安全で安定したものに進化し続けています。いつまでたっても一般市民が使いこなせるとは思えない、ある意味自己満足な機能しか持たないリナックスなどとは、対照的ですな。

これは、どちらが良いという問題ではありません。個人的には、マイクロソフトの商売は大嫌いです。でも、PCがこれだけ一般的になったのは、マイクロソフトの貢献が大きいことだけはたしかです。私もwindows使ってますし。

科学者コミュニティが本当に市民のみなさまに受け入れられたいのなら、マイクロソフトが身をもって提示しているモデルを採用するのがもっともてっとり早いでしょう。金をかけてマーケティングを行い、市民のみなさまが理解しやすいようにひたすら媚びるわけです。

でも、それが科学者コミュニティの目指すべき方向なんですかね。うーん、わかんない。つづきはそのうち。
 


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